朴勝俊 Park SeungJoonのブログ

反緊縮経済・環境経済・政策に関する雑文 

アルトゥーロ・C・ポルゼカンスキー(2018)債務残高対GDP比の重要性に対する異議申し立て

アルトゥーロ・C・ポルゼカンスキー(2018)「債務残高対GDP比の重要性に対する異議申し立て」World Economics, March 2018

翻訳: 朴勝俊(2025/5/20, 2025/5/26変更)

Arturo C. Porzecanski (2018) Debunking the Relevance of the Debt-to-GDP Ratio, World Economics, 19(1), 2018

Link to the Original Paper

https://arturo.porzecanski.com/Debunking%20the%20Relevance%20of%20the%20Debt%20to%20GDP%20Ratio.pdf

https://www.world-economics-journal.com/Archive/Default.aspx?Year=2018

www.worldeconomics.com

 

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※引用される場合は出典(著者・翻訳者)を明記して下さい

 

要点

・ 歴史的な経験によれば、政府債務対GDP比率(政府債務比率)が高いほど、政府が債務返済の困難に陥るリスクが高まるという単純な主張は支持されない。

・ 1998年から2017年までに発生した25件の政府デフォルト(債務不履行)の事例において、デフォルト前の債務対GDP比率は、最低の27%(2008年のエクアドル)から最高の236%(2003年のニカラグア)まで幅広く分布し、サンプルの中央値は79%であった。

・ 政府債務比率が上昇するにつれて、一部の国ではより責任ある財政管理を行うこともある。一方で、債務比率が低くても、危険な通貨ミスマッチや満期ミスマッチ、あるいは偶発債務が隠蔽されている場合がしばしばあり、それが突然に銀行や政府を弱体化させる可能性もある。

・ 国債の需要は予測不能な振る舞いをする可能性があり、債務比率が低くても高くても、政府は突然に必要な資金を調達できなくなる場合がある。

・ 国際通貨基金IMF)や、欧州委員会世界銀行などの公式機関は、財政上の結果の予測に役立たない債務比率を懸念しつづけたことで、自分たちにも加盟国にも重大な損害をもたらしてきた。