朴勝俊 Park SeungJoonのブログ

反緊縮経済・環境経済・政策に関する雑文 

貨幣とはなにか?:ジョセフ・ワン(2020)『セントラル・バンキング101』 朴勝俊訳(2024/6/15)

ジョセフ・ワン(2020)『セントラル・バンキング101』(第1章、抄訳) Joseph Wang (2020) Central Banking 101, New York, 2020 朴勝俊訳(2024/6/15) 著者略歴 コロンビア大学法科大学院を卒業したが、金融危機時に金融部門への転職を試みた。オックスフ…

ブランシャールのIS-LM-PCモデルにおける日本のPC曲線に関する実証的検討

ブランシャールのIS-LM-PCモデルにおける日本のPC曲線に関する実証的検討 朴勝俊 2024/2/28 ※ お時間のない方は「はじめに」と「結論」のみお読みください 1.はじめに ブランシャール教科書におけるIS-LM-PCモデルでは、PC曲線はフィリップス・カーブを意味…

朴勝俊 「米山ワールド(コメとカネの経済)に関する検討」(2024 年2 月18 日)

朴勝俊 「米山ワールド(コメとカネの経済)に関する検討(2024年2月18日) 図1 米山隆一氏のツイート 米山隆一氏が山本太郎氏を批判する記事が公表され[1]、その後、彼が自身の考えを説明するツイートを発信している(図1)。彼が経済に関する自説を、何ら…

日本に関するブランシャールのIS-LM-PCモデルのエコノメイト-Macroを用いた推計

日本に関するブランシャールのIS-LM-PCモデルのエコノメイト-Macroを用いた推計 朴勝俊 2024/2/17 1.はじめに 「ブランシャール マクロ経済学(上)[第2版]」(ブランシャール、2020)におけるIS-LM-PCモデルは、現実には金利は中央銀行が決めるという立場…

【翻訳】ペーター・ボフィンガー「ベスト・オブ・マンキュー: 世界で最も売れた経済学教科書の誤りと混乱」

ベスト・オブ・マンキュー: 世界で最も売れた経済学教科書の誤りと混乱 ペーター・ボフィンガー 2021年1月3日、朴勝俊訳 2023年12月18日 引用・参照は原典に対して行ってください Peter Bofinger (2021) Best of Mankiw: Errors and Tangles in the World's…

【翻訳】エーダー=ラムサウアー(2022)「山本太郎とれいわ新選組 ― 新自由主義日本のための、愛と、ポピュリズムと、ラディカルなデモクラシー」

アンドレアス・エーダー=ラムサウアー(2022)「山本太郎とれいわ新選組 ― 新自由主義日本のための、愛と、ポピュリズムと、ラディカルなデモクラシー」 翻訳: 朴勝俊(2023/10/17) ※ 公式の翻訳ではないため引用・参照は原典に対して行ってください。 原典…

ブロック&ソマーズ「スピーナムランド制度の影で:社会政策と旧救貧法」の翻訳

論文 ブロック&ソマーズ「スピーナムランド制度の影で:社会政策と旧救貧法」紹介文 朴勝俊 スピーナムランド制度の名を知る人はおそらく、マルクス&エンゲルスの著作か、カール・ポランニーの『大転換』か、あるいはベーシック・インカム(BI)を唱道するル…

円安およびエネルギー資源価格高騰で物価はどれだけ上がるか:産業連関分析を用いた価格波及分析

円安およびエネルギー資源価格高騰で物価はどれだけ上がるか産業連関分析を用いた価格波及分析 朴勝俊 2023年7月7日 1. はじめに 2021年頃から世界的にエネルギー資源(石炭・原油・天然ガス)の価格が倍以上に高騰しており、2022年に入っては2~3割におよ…

アーチャー&モーザー=ベーム(2013)『中央銀行の財務』(第1部第2節)抄訳

アーチャー&モーザー=ベーム(2013)『中央銀行の財務』(第1部第2節)抄訳 David Archer and Paul Moser-Boehm (2013) “Central bank finances”, BIS Papers, No. 71, Part A, 2. The relevance of own finances, as viewed from the economics literature …

資金循環統計を用いた近年のマネーストック増加率の要因分解

概要と結論 資金循環統計を用いて、近年のマネーストック増加率の要因分解を試みた。M3は2000年第に停滞し、2010年代に伸び、2020以降に急激に増えたように見える(図1)。ちなみに、2021年3月末までの1年間で約103兆円も増加した。これについてはまず、2020年…

クナップ『貨幣の国家理論』に関する概念整理

本稿は2022年11月に新訳が出版された、ゲオルグ・フリードリヒ・クナップの『貨幣の国家理論』(小林純・中山智香子訳、日本経済新聞出版)を読み進める方々の便宜のために、概念整理を試みたものである。貨幣に関して我々が平素使っている用語と、クナップ…

ミクロ経済学のための貨幣循環

youtu.be 制作・解説:朴勝俊(関西学院大学教授) 「ミクロ経済学の貨幣循環」というタイトルで、貨幣と財政の本質をわかりやすく解説した動画です。政府の貨幣発行だけでなく、岸昌三先生の論文「貨幣循環」の事例に基づき、民間の生産活動の営みを支える…

【参考資料】新しいBIS実効為替レート指数

BIS研究者による実質実効為替レートの解説を翻訳しました。全文はPDFファイルをダウンロードしてご覧下さい。なお、翻訳には誤りがありえます。引用のさいは原典をあたってください。 新しいBIS実効為替レート指数 Marc Klau and San Sau Fung 著 朴勝俊 翻…

実質実効為替レートは高いほうがよいのか?

2022年1月26日 朴勝俊著 ■ はじめに 日本経済新聞(日経)が、「円の実力低下、50年前並み、弱る購買力、輸入に逆風 消費者、負担感増す」というタイトルの記事を出しました(2022年1月21日)。記事は冒頭部分で以下のように述べています。 円の総合的な実力…

【みんなのお金の紙芝居シリーズ・ショート】日本のような国で財政破綻が起こらないのはなぜか?ー中・上級者向け解説動画

今回は、積極財政の説明をする必要がある人のための、短かめの10分の動画です。 www.youtube.com 貨幣と財政の本質をとらえた積極財政論の根拠説明の中でも、比較的むずかしい、(1)政府支出と国債発行で貨幣が生まれる、(2)国債は借り換えるもので、それは常…

『100%マネー』第一章・要約 アービング・フィッシャー著(1935年刊)、朴勝俊訳

100%マネー アービング・フィッシャー著、朴勝俊訳 1935年刊 ※文末にPDF版を掲載しています $5 large-size Federal Reserve Bank Note, Series 1918(National Museum of American History - Image by Godot13) はじめに アメリカでは、他のいくつかの国と…

クロス表とベイズの公式に基づく新型コロナPCR検査抑制論の検討(授業用資料)Ver.2 (PDFはVer.4)

日本のPCR検査数(人口比)は先進国で最下位レベルです。ニュージーランドや台湾、韓国、中国などは少数でも感染者が見つかれば大量のPCR検査と隔離を行い、感染ゼロを目指していますが、日本は「専門家」たちがPCR検査の精度が低い、徹底的な検査を行うとニセ…

【翻訳】イベルメクチン:COVID-19という新たな 世界的惨事に対する有効性が示された ノーベル賞受賞の多面的薬剤

サンティン、シャイム、マカロフ、ヤギサワ、ボロディ「イベルメクチン:COVID-19という新たな世界的惨事に対する有効性が示されたノーベル賞受賞の多面的薬剤」翻訳 ver.1 (2021/8/7) 翻訳:朴勝俊(関西学院大学教授) これは,論文が受理された後に,表紙…

【動画】戦後の経済成長を支えた財政投融資

www.youtube.com 戦後の経済成長を支えた財政投融資に注目する動画を作りました。戦後日本の財政はながらく健全財政(一般会計の国債発行ゼロ)だったのに、どうやって戦後の産業復興やインフラ建設などの資金を、政府がまかなうことができたのでしょうか? …

【動画】シンポジウム 「積極財政をどのように考えるか―MMTに関係する報告と討論―」

公益財団法人政治経済研究所のシンポジウムでお話させて頂きました。当日の動画が公開されていますので、ぜひご覧下さい。 公益財団法人政治経済研究所の主催シンポジウム 「積極財政をどのように考えるか―MMTに関係する報告と討論―」 報告者 朴勝俊(関…

【翻訳】緊縮財政とナチスの台頭

欧米諸国の多くは2007-2008 年の金融危機からの債務問題に対応するために、ディープな緊縮財政を追求してきたが、COVID-19 の景気刺激策の結果、再び緊縮財政を行う可能性がある。本コラムでは、1930年代初頭に緊縮財政がいかに社会的苦痛を悪化させ、政治的…

高橋是清講談(昭和編)ー昭和金融恐慌から2.26事件までー

昭和財政における高橋是清(たかはしこれきよ)の業績を皆さんに知っていただくため、講談師の玉田玉秀斎師匠に『高橋是清講談(昭和編)』を続き読みしていただきました。 ※ 玉田玉秀斎オフィシャルページ http://ahs-web.com/tamadagyokusyusai/index.html…

野党は下手なアベノミクス批判より 独自の経済政策を

※この記事は『アジェンダ-未来への課題-』2018年冬号に掲載されたものです ■はじめに 筆者は安倍政権に批判的な立場であるが、「アベノミクス批判」にはあまり関心がない。いわゆる「アベノミクス」は成功か失敗かと問われれば、この「スローガン」は安倍…

【みんなのおカネの紙芝居シリーズ 第2弾】「生産性」の低い企業や労働者を淘汰して、経済を成長させるという考え方は、間違いです! ーデーヴィッド・アトキンソン氏への反論

【みんなのおカネの紙芝居シリーズ 第2弾】「生産性」の低い企業や労働者を淘汰して、経済を成長させるという考え方は、間違いです! ーデーヴィッド・アトキンソン氏への反論 (朴勝俊) 次期首相の最有力候補・菅氏からも信頼されているといわれる、D・ア…

エコノメイト・マクロ計量モデルで消費税減税を試してみた

先日、念願の「エコノメイト・マクロ計量モデル」を入手した。これは過去30年以上の実績があり、販売元の湘南エコノメトリクスが膨大なデータファイルと計量モデルのアップデートを続けてこられているものだ。今回入手したのは基本システムと、マクロ経済モ…

【動画】国の借金を返すとおカネが消える-池上彰さんの「国の借金1100兆円」にこたえて

【みんなのおカネの紙芝居シリーズ 第一弾】「国の借金を返すとおカネが消える-池上彰さんの「国の借金1100兆円」にこたえて」v3 朴勝俊 池上彰さんは「国の借金が1100兆円」などと間違った事実を拡散しています。彼の説明がわかりやすいのは、これまでの「…

消費税・付加価値税の負担と国の幸福度には何の関係もない:OECD諸国データ分析による簡易な考察

■ はじめに 消費税の増税に賛成する人々の中には、消費税が高い北欧諸国の幸福度が高いことを論拠にする人がいる。そうした考えを代表する論考のひとつが、井手英策教授の「全国民に批判されても、僕が「消費税を上げるべきだ」と叫ぶ理由」(現代ビジネス、2…

PCR検査の「正確さ」入門

日本のPCR検査数(人口比)は、4月末に先進国で最下位レベルと指摘され[1]、7月末には世界で159位と[2]、アフリカ諸国よりも少ないです。その理由は、マスコミ等でPCR検査の「不正確さ」が宣伝され[3]、それによって、検査を増やさない政策が正当化されてきた…

太政官札の発行・流通・廃止の経緯 『明治財政史 12巻 通貨(2)、銀行(1)』から学ぶ

2020.6.24 解説・要約:朴勝俊 https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11895319 ■ 解説 太政官札(だじょうかんさつ)は明治元年(1868年)に、新政府によって発行された政府紙幣です(ちなみに太政官は現在の総理大臣に相当する役職です)。それまで…

講談「寛政下(シモ)一揆」江戸近郷1016の農村が町民にクソ反旗を翻した物語

朴勝俊 講談「寛政下一揆」